デイサービスの人手不足対策|人数を増やす前に見直した4つの業務

デイサービスの現場では、職員からこんな声が出ることがあります。
「人が足りないので、職員を増やしてください」
実際、介護業界は人手不足です。
必要な配置そのものが足りない現場では、採用活動が必要です。
ただし、管理者として一度立ち止まって確認した方がよいことがあります。
人を増やす前に、職員の手を奪っている業務が残っていないか。
僕が管理者になって1年目くらいの頃、利用者さんが10人の日も、6人の日も、現場の忙しさがほとんど変わらない時期がありました。
4人減っているはずなのに、やっぱりバタバタする。
要介護比率も、そこまで大きく変わっていない。
あとで分かったのは、足りなかったのが人だけではなかったということです。

ミーア
コウ
でも、その前に業務の詰まりを見た方がいいです。


ミーア
コウ

結論:採用を急ぐ前に、人手不足の原因を切り分ける
デイサービスの忙しさは、すべて同じ原因で起きるわけではありません。
「人数不足」「構造の詰まり」「物理的な限界」では、打つべき対策が異なります。
この記事でわかること
- 利用者さんが減っても、忙しさが変わらない理由
- 丁寧なサービスが、職員負担へ変わる境界
- 人を増やす前に見直した4つの業務
- 業務を減らす時に確認したい判断基準
デイサービスの人手不足は3種類に分けて考える
人手不足対策を考える時、すぐに採用へ走ると判断を誤ることがあります。
まず、現場の苦しさを3種類に分けます。
| 種類 | 状態 | 最初に見る場所 |
|---|---|---|
| 人数不足 | 必要な配置そのものが足りない | 採用・勤務配置 |
| 構造の詰まり | 必要性の低い業務に手を取られる | サービス内容・役割分担 |
| 物理的な限界 | 送迎や設備の制約を越えられない | 車両・送迎ルート・時間帯 |

人手不足に見えても、原因は同じではありません。
僕の現場で起きていたのは、2つ目の 構造の詰まり でした。
送迎や車両のように、工夫だけでは越えられない壁もあります。
物理的な限界については、 「デイサービスの送迎パズルの限界|受け入れを止める物理的な壁」 で詳しく整理します。
利用者が減っても忙しいなら業務設計を疑う
当時の現場では、前の管理者のやり方が色濃く残っていました。
- 1人の職員が、1人の利用者さんを対応する
- 対応が終わったら、次の1人へ行く
- 個別機能訓練も、1対1で進める
- ドリンクの種類が多い
- おやつも好みに合わせる
- 連絡ノートに、毎回個別メッセージを書く
一見すると、すごく丁寧です。
利用者さん想いにも見えます。
でも、僕が引っかかったのは、次の点でした。
その手数は、本当にリハビリ特化型デイサービスの価値につながっているのか。
利用者さんが10人の日も、6人の日も、同じように忙しい。
この状態なら、人数以外の何かが詰まっています。
職員の手を奪っていた4つの業務
僕が見直したのは、主に4つです。
| 見直した業務 | 改革前 | 改革後 |
|---|---|---|
| ドリンク | 複数種類・濃さ・砂糖・ミルクを個別対応 | お茶や水を中心に簡素化 |
| おやつ | 好みに合わせて個別対応 | 提供を中止 |
| 連絡ノート | 毎回、個別メッセージを書く | バイタルと次回案内を中心に整理 |
| 運動対応 | 1対1中心 | 集団体操・小集団対応を追加 |
特にドリンクは、ほとんどカフェのような状態でした。
カルピス、コーヒー、紅茶、ジュース。
さらに、濃いめ、薄いめ、ミルクあり、ミルクなし、砂糖あり、砂糖なし。
一つひとつは、小さな作業です。
でも、それが積み重なると、職員の手は確実に奪われます。
忙しいのに、運動や利用者さんとの関わりへ時間を使えない。
この状態が起きていました。
業務効率化では「何を売りにするか」を決める
僕が最初に見直したのは、職員配置ではありません。
もっと手前です。
うちは、何を売りにしているデイサービスなのか。
リハビリ特化型デイサービスなのに、職員の時間がドリンク、お菓子、ノートの一言へ流れている。
それは、本当に主力サービスなのか。
僕は違うと思いました。
だから、一つずつ見直しました。
ただし、感覚だけで削ったわけではありません。
業務を減らすたびに、稼働率がどう動くかを確認しました。
数字を見ながら現場を変える順番は、 「デイサービス稼働率改善ロードマップ|営業の前に見るべき5つの順番」 で整理しています。
サービスを減らしても稼働率は下がらなかった
結果は、かなりはっきりしていました。
- ドリンクをお茶や水中心にしても、稼働率は下がらなかった
- お菓子をやめても、稼働率は下がらなかった
- 連絡ノートを簡素化しても、稼働率は下がらなかった
- むしろ、稼働率は上がっていった
つまり、利用者さんやケアマネジャーが本当に求めていたのは、ジュースでも、お菓子でもなかった。
どんなリハビリを提供してくれるか。
そこだったんです。
1対1中心から小集団対応へ変えた
業務を削っただけではありません。
削った時間で、何を増やすかも変えました。
- 利用者さんと話す時間
- 運動を提供する時間
- 集団体操
- 小さな集団での関わり
介護スタッフ1人に対して、5人くらいを見られる小集団の体操や関わりを増やしました。
すると、次の変化が出ました。
- 利用者さん同士の関わりが増えた
- 運動量が増えた
- 職員の動きが整理された
- 現場の殺伐とした空気が減った
リハビリ特化型デイサービスなら、職員の手は、細かい付帯サービスではなく、運動や関わりへ使った方がよい。
その方が、利用者さんに返せる価値も大きくなります。
「職員を増やしてほしい」という声が止まった
改革前は、介護スタッフから、
「1単位あたりの人数が足りないので、増やしてください」
という声が出ていました。
利用者さんが7人を超えると、忙しすぎるという空気になる。
現場全体も、かなり殺伐としていました。
でも、不要な業務を減らし、運動と関わりへ時間を使うようにしてから、その声はぴたりと止まりました。
介護スタッフからも、
「前より楽になった」
という声が出るようになりました。
ここで、かなりはっきりしました。
あの時に必要だったのは、人を足りなく見せる構造を変えることでした。
採用、教育、受け入れ、負担偏在を含めて職員問題を整理したい場合は、 「デイサービス職員が辞める構造|管理者の離職防止実務地図」 へ進んでください。
サービス削減で利用者離れは起きなかった
ここは、管理者が一番怖いところだと思います。
「サービスを減らしたら、利用者さんが辞めるのではないか」
実際、少しは言われました。
2人くらいの利用者さんから、
- 「お菓子なくなったじゃないの」
- 「コーヒー飲ませてよ」
とは言われました。
でも、それ以外は大きな不満になりませんでした。
それが理由で辞めた利用者さんも、1人もいませんでした。
昔から続けているサービスと、利用継続の本丸は別です。
本当に必要なものを見極めないと、現場は不要業務で疲弊します。
人を増やす前に業務を4分類する
人手不足に見える時、僕なら業務を次の4つに分けます。
| 分類 | 判断 |
|---|---|
| 継続する | 事業所の価値に直結している |
| 簡素化する | 必要だが、手順を軽くできる |
| 小集団化する | 1対1でなくても、価値を保てる |
| やめる | 続ける理由が「昔から」だけになっている |

介護業界が人手不足であることは事実です。
ただし、すべての忙しさを人数不足で片づけると、採用しても、採用しても、現場が軽くならない可能性があります。
採用の前に、職員の手が本当に必要な場所へ使われているかを確認する。
これが、壊れにくい現場を作る第一歩です。
よくある質問
採用活動をしなくてもよいという意味ですか?
違います。必要な配置そのものが足りなければ、採用は必要です。
ただし、構造の詰まりを残したまま人を増やすと、新しい職員の手も同じ業務に奪われます。
採用と業務棚卸しは、分けて考えた方がよいです。
サービスを減らすと、利用者満足度が下がりませんか?
可能性はあります。
だから、一気に全部を変えるのではなく、一つずつ見直します。
僕も、業務を減らすたびに稼働率の変化と利用者さんの反応を確認しました。
最初に何から見直せばよいですか?
まず、毎日繰り返している細かい業務を書き出します。
そのうえで、次の4点を確認してください。
- 事業所の価値に直結するか
- 手順を軽くできるか
- やめても問題が起きないか
- 本当に1対1でなければ成立しないか
まとめ|人手不足対策は採用だけではない
利用者さんが10人でも、6人でも、同じようにバタバタしていた。
この違和感から見えたのは、職員の手が、本当に必要な場所へ使われていなかったことでした。
- ドリンク
- お菓子
- 連絡ノートのメッセージ
- 1対1中心の対応
それらを一つずつ見直して、リハビリ特化型デイサービスとしての目的へ寄せました。
すると、
- 介護スタッフの負担が軽くなった
- 「人を増やしてほしい」という声が止まった
- 稼働率は下がらなかった
- むしろ、稼働率は上がっていった
だから今の僕は、人手不足の相談を受けた時、まずこう考えます。
人数不足に見えて、本当は必要性の低い業務を続けていないか。
足りないのは、人だけではなく、設計ではないか。
問題が起きた時、先に人を増やすのではなく、何を目的にした現場なのかを見直す。
それが、壊れにくい現場を作る第一歩だと僕は思っています。

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