デイサービスの管理者をしていると、人手不足の時ほど判断が鈍ります。

本当は慎重に見ないといけない。
でも現場が回らない。
休みが重なる。
送迎も介助もギリギリ。

そうなると、とにかく来てほしい気持ちが強くなる。

この時、採用の目線は確実に下がります。

  • とりあえず来てくれたら助かる
  • 経験があるなら何とかなるかもしれない
  • 体格があるなら戦力になるかもしれない

そうやって採る。
でも、あとで現場がもっと苦しくなる。

僕自身、この感覚はよく分かります。
そして振り返ると、以前働いていた職場では「誰でもいいから採る」という状態になった結果、
最悪、暴行事件まで起きました。

人手不足の時に採用の評価軸が下がると、あとでそのツケは全部現場に来ます。

だから今は、応募があっても単純には喜びません。
人手不足の時ほど、面接で見るべきことを絞るようにしています。

今回は、僕が何十回か面接してきた中で、
「この3つができないと、現場ではかなり危ない」
と思っているサインを書きます。

結論から言うと、見るのはすごくシンプルです。

  • 人の話を聞けるか
  • メモを取るか
  • 返事・表情・雰囲気に違和感がないか

派手な質問より、結局ここが一番当たります。


人手不足の時ほど、「来てくれるだけでありがたい」に引っ張られる

管理者をしていると、採用はいつも理想通りにはいきません。

本当は、じっくり見たい。
うちに合うか、利用者さんに合うか、現場の空気に合うかを見たい。

でも実際はそうもいかない。

人が足りない。
今週をどう回すかで頭がいっぱい。
送迎も風呂も介助も、今日明日が厳しい。

そうなると、応募が来た時点で少し嬉しくなってしまうんです。
これは本当にあります。

ただ、ここが一番危ない。

だから今は、応募が少ない時ほど、逆にシンプルな基準で見ています。


サイン1|人の話を聞けるか

一番大事なのはこれです。

人の話を聞けるか。

介護職は、自分が話す仕事ではなく、まず相手の話を聞く仕事です。

  • 利用者さんの話を聞く
  • 家族の話を聞く
  • 先輩の指示を聞く
  • 注意も聞く
  • 小さな変化も拾う

ここができないと、現場ではかなり危ないです。

たとえば、以前面接した40代の介護福祉士の女性がいました。
介護福祉士として10年以上のキャリアがあり、すごく真面目そうな方でした。
お琴が趣味だと言っていて、見た目だけなら落ち着いていました。

でも面接で出てきたのは、

  • 有給は月何日取れますか
  • 給料は上がっていきますか
  • しばらくしたら正社員にしてもらえるんでしょうか

という話ばかりでした。

確認というより、かなり強い要求でした。
僕の話を聞くというより、自分の欲しいものを先に並べてくる感じです。

もちろん条件確認は大事です。
でも、面接の最初からTakeが強すぎる人は危ない。

こういう人は、入ったあとも
「自分が何をもらえるか」
が先に来やすい。
現場で必要な聞く力とは、少しズレます。


サイン2|メモを取るか

次に見るのは、メモを取るかです。

これ、すごく地味です。
でもかなり大事です。

介護現場は、覚えることが多いです。

  • 利用者さんごとの注意点
  • 送迎ルート
  • 介助方法
  • 口調や接し方
  • 禁忌
  • 小さなルール

これを最初から全部覚えられる人なんていません。
だから普通は、メモを取ります。

逆に、メモを取らない人はかなり危ないです。

例えば、30代のギャル系の女性介護福祉士がいました。
介護福祉士として3年くらいのキャリアがあるとのことでした。
別にギャルだからダメという話ではありません。
見た目で決めるつもりはないです。

ただ、両手全部につけ爪、つけまつげもバッチリで、正直
「どこの施設でこの格好で介助してたんだろう」
と思うくらい、履歴書の内容との整合に違和感がありました。

しかもこの方、メモを取らないんです。
表情も暗い。
返事も弱い。
話は聞いているようで、入っていない感じがありました。

こういう時、僕はかなり危ないと見ます。

なぜなら、メモを取らない人は
同じことを永遠に教えることになる
からです。

教育する側のコストが終わらない。
その間、現場は止まる。
新人1人にかかる負荷が、ずっと他の職員に乗り続ける。

メモを取らないことは、本人の問題だけではなく、教育構造そのものを壊しやすい
ということです。


サイン3|返事・表情・雰囲気に違和感がないか

最後は、返事・表情・雰囲気です。

これが一番感覚的に見えるかもしれません。
でも実際にはかなり当たります。

介護は、対人援助の仕事です。
だからスキル以前に、

  • 返事の仕方
  • 表情の柔らかさ
  • その場の空気への入り方
  • 利用者さんの前に立った時の違和感のなさ

ここがすごく大事です。

以前採用した30代の女性介護福祉士で、結局1週間で辞めた方がいました。
自宅から職場まで通勤1時間。
面接の時に僕は、正直に聞きました。

「1時間はありますけど、通勤にこれはちょっと難しいんじゃないですか」

でも返ってきたのは、
「絶対大丈夫です」
という根拠のない自信でした。

当時は本当に人が少ない時期だったので、僕も採ってしまいました。
体も大きく、柔道黒帯。
男性利用者さんの介助でもぶれずにできそうだと思ったんです。

でも後から、うつ病を抱えていること、
「ここで働けたら社会復帰できるかなと思った」
「他の会社ではなかなか採用してくれないから、ここで慣れたら社会復帰できると思った」
という話を本人から聞きました。

その気持ちは嬉しいです。
でも正直、本音では
「うちの会社は職業訓練の場所ではないんだけどな」
と思いました。

結局、その方は1週間後にLINEで辞めていきました。

このケースで危なかったのは、条件や背景そのものというより、
現実とのズレを自分で把握できていない雰囲気
でした。

ここは面接でかなり出ます。

そして、うちのデイサービスは「雰囲気が良い」こと自体が、利用者さんの安全安心感につながっています。
だから返事・表情・空気感に違和感がある人を入れると、1人の問題では済まない。
組織で作っている安心感そのものが壊れる
んです。


履歴書の志望動機が未記入な人が多いことも、ずっと気になっている

これは細かい話ですが、ずっと引っかかっていることがあります。

多くの応募者が、履歴書の志望動機を未記入で持ってくることです。

正直、未だに
「これが当たり前なのかな」
と思うくらい多いです。

もちろん、文章が苦手な人もいます。
それだけで切るわけではありません。

でも、志望動機が空白だと、

  • なぜここに来たのか
  • 何をしたいのか
  • うちじゃなくてもいいのか

がかなり見えにくくなる。

そして、見えないまま採ると、あとでズレます。

文章が上手いかどうかを見ているわけではありません。
僕が見ているのは、
うちの施設に少しでも興味を持って、準備してきたかどうか
です。

もっと言えば、
「書かなくても別にいいや」
という視点が、そのまま仕事にも出ることがあります。

準備する。
段取りをする。
最低限の敬意を持つ。
そこが抜けている人は、やっぱり現場でも危ないです。


面接で見抜くべき3つのサインは、結局すごくシンプル

色々な人を見てきましたが、結局、面接で見抜くべきサインはすごくシンプルです。

1. 人の話を聞けるか

自分の要求だけでなく、こちらの話をちゃんと受け止められるか。

2. メモを取るか

覚えるための努力をする人か。
同じことを繰り返し教える構造を作らない人か。

3. 返事・表情・雰囲気に違和感がないか

言葉だけではなく、その人が現場に立った時の空気を想像できるか。

この3つを見ている理由はシンプルです。

  • メモを取らない人は、同じことを何度も教えることになり、教育コストが終わらない
  • 人の話を聞けない人は、現場のルールを無視して自己流で動きやすくなる
  • 返事や表情、雰囲気に違和感がある人は、利用者さんや他職員との空気を崩しやすい

つまりこの3つは、性格診断ではなく、現場が壊れる入口を見ている
んです。

今後は、面接で実際に聞いている質問も別記事でまとめたいと思っています。
採用は感覚でやるより、再現できる形にした方がぶれにくいからです。


社長の紹介や知人ルートでも、必ず構造に引きずり込む

この件を通して、僕はかなりはっきり考え方を変えました。

以前は、スタッフが少ない中で応募があるだけで嬉しかった。
採用してほしいと言われたら、あまり深く考えず喜んでいました。

でも今は違います。

誰でも、まずは僕の面接を受けてもらう。
これは絶対です。

社長の紹介でも同じです。
紹介だからこそ、逆に構造に引きずり込まないといけない。

つまり、

  • 必ず面接する
  • 現場での役割を明確にする
  • 最低限の基準を共有する
  • こちらも見るし、相手にも見てもらう

ここを飛ばさない。

そうしないと、あとで全部現場に返ってきます。


紹介採用だけに頼らないために、求人サイトも大事にしている

もう一つ大きいのは、採用ルートです。

友人づて、知り合いづて、社長の紹介。
これらは早いし、話も通りやすい。
でもその分、最初からしがらみが入ります。

だから今は、求人サイトのような外部ルートを持つことをかなり大事にしています。

求人サイト経由なら、まだフラットに見られる。
面接もしやすい。
条件確認もしやすい。
こちらの責任も明確になる。

現場を守るには、誰かの紹介しかない状態から抜けることが必要です。

今後は、面接で必ず確認していることや、紹介採用で失敗しないための基準も別記事でまとめていきたいと思っています。


まとめ|人手不足の時ほど、面接の評価を下げてはいけない

今、読者に一番伝えたい結論はこれです。

人手不足の時ほど、採用の評価は下がりやすい。
でも、そこを下げるとあとで現場がもっと苦しくなります。

以前は、応募が来るだけで嬉しかった。
でも今は、
誰でも採ることは、より良い構造を作る上では遠回りだ
と思っています。

そして、面接で見ているのは結局この3つです。

  • 人の話を聞けるか
  • メモを取るか
  • 返事・表情・雰囲気に違和感がないか

すごくシンプルです。
でも現場では、ここがかなり当たります。

介護は、人手が足りないから誰でもいい、では回りません。
高齢者と毎日向き合う仕事だからこそ、入口で見抜かなければいけないことがあります。

人手不足の時ほど、面接の評価を下げてはいけない。

だから今は、応募があると喜ぶ前に、まず面接を見る。
そして、誰でも必ず僕の面接を受けてもらう。

それが今の僕の採用の前提です。


次に読むべき記事

第37話:新人が辞める瞬間|育成の失敗はどこで起きるのか

→ 採用の入口を曖昧にした時、育成がどう壊れていくかを続けて読みたい方へ。

第36話:職員メンタル崩壊が起きる前に管理者が見ているサイン|辞める直前は静かに始まる

→ 辞める前のサインが、本人の内側ではなく周囲との関係にどう出るかを続けて読みたい方へ。

リハビリ特化型デイサービス管理者の仕事ロードマップ

→ 人材管理・現場改善・制度対応まで、管理者の仕事全体をまとめて追いたい方はこちら。

ABOUT ME
リハビリデイ管理者
リハビリ特化型デイサービスの現役管理者。 現場運営・稼働率改善・スタッフ管理など、実際のデイサービス経営のリアルを発信しています。 これまで複数のデイサービス事業所で勤務し、稼働率が低迷していた事業所の改善に携わる。 担当した事業所では、稼働率を58.5%から79.8%まで改善。 ケアマネジャーとの関係づくり、紹介数を増やす営業方法、現場オペレーション改善など、 現場経験をもとにした実践的なノウハウをまとめています。 「現場で本当に使えるデイサービス経営」をテーマに、 管理者・生活相談員・デイサービス経営者向けに情報を発信しています。