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紹介が来たら、少し安心します。

体験利用までつながったら、さらに安心します。

現場でも雰囲気が悪くない。
本人もそこまで拒否的ではない。
これなら契約まで行けそうだな。

管理者なら、そう思うことがあります。

でも実際は、そこから落ちることがある。

しかも、落ちる理由が
「うちのサービスが悪かった」
とは限りません。

今の僕は思います。

紹介は来るのに契約に至らない時、足りないのは営業力ではなく、前提共有かもしれない。

今回は、営業と現場のズレで契約が飛んだ話を書きます。

体験利用が順調でも契約に至らないケースはある

象徴的だったのは、70歳代の女性利用者さんです。

  • 要介護1
  • 膝の痛みあり
  • 注射治療中
  • 体験利用までは前向きに見えた方

この方は、体験利用の段階では大きな問題は見えませんでした。

実際、体験利用当日はこちらもかなり丁寧に準備していました。

その日の位置づけは、
「評価や負荷をかけたリハビリよりも、ここに来ると安心できる場所だと感じてもらうこと」を最優先にしていました。

膝痛や起立のつらさ、転倒歴も踏まえて、温熱と会話を中心に、無理をさせず、頑張らせない対応で入っていました。

体験の結果、通うことが決まった。

だから、正直この時点では
「いけた」
と思っていました。

契約直前にズレたのは料金と介護保険の理解だった

後日、契約のためにご自宅へ行きました。

ケアマネは、うちの事業所のケアマネです。

つまり、外部からの全く知らない紹介ではなく、かなり近い距離の中で進んでいた話でした。

それでも、ここで崩れました。

契約の場で、僕がこう聞いたんです。

「月々のご料金のお支払方法は、引き落としと現金支払いのどちらがいいですか?」

すると、利用者さんがこう言いました。

「え? 16万円から支払われるんやから、いらないんじゃないの?」

空気がすごく重くなりました。

ケアマネも焦る。
「違うんやで、1割はかかるんやで」と説明する。

すると利用者さんは不機嫌になる。

そして最後は、

「じゃあ行かないわ」

です。

もう、めちゃめちゃでした。

デイサービス契約で落ちる原因はサービス内容だけではない

この方は、要介護1です。

区分支給限度額の月額限度額を見て、
「毎月その金額が自分に使えるお金」
のように受け取っていたみたいでした。

つまり、

  • 介護保険の仕組み
  • 1割負担があること
  • その上でサービス利用料が発生すること

この前提が共有されていなかった。

ここが本当のズレでした。

しかも怖いのは、このズレって体験利用では見えにくいことです。

現場では、

  • 雰囲気が悪くない
  • 本人も来てくれた
  • リハビリも受けられた
  • 「また来てもいいかな」くらいの空気がある

ここまでは作れてしまう。

でもその先で、
制度理解と料金理解が抜けていたら、契約で落ちる。

これはかなり痛いです。

契約に至らない時に失うのは利用者1人分の数字だけではない

こういう時、数字だけ見て
「1件取れなかった」
で終わらせると浅いです。

本当に痛いのは、その前に使った時間です。

このケースで吹っ飛んだのは、

  • 体験利用にあてた時間
  • 契約書を作る時間
  • 計画書を作る時間
  • 送迎ルートを考える時間
  • 現場側で受け入れ準備をした時間

全部です。

つまり、契約が飛んだ時に失うのは、
利用者1人分の数字だけじゃない。

現場と管理者が先に投資した時間です。

小規模デイにとって、これはかなり重い。

紹介が来ても契約に至らない時に疑うべき前提共有

ここ、かなり大事です。

紹介が来たのに契約に至らないと、
管理者はついこう思いがちです。

  • 営業が弱かったのかな
  • 体験の見せ方が悪かったのかな
  • 現場の雰囲気が刺さらなかったのかな

でも、今回みたいなケースでは違います。

現場はちゃんとやっていた。

体験利用も、少なくとも大きくは崩れていなかった。

問題はそこじゃない。

営業と現場の前にある前提共有です。

  • この人は介護保険をどう理解しているか
  • 料金はどう思っているか
  • そもそも何にお金がかかると思っているか
  • 家族やケアマネと、そこが揃っているか

ここが抜けていると、体験がうまくいっても契約で落ちる。

送迎条件のズレも契約前に確認すべき重要ポイント

最近のケースで言うと、片道40分かかる方の紹介もありました。

これも一見すると、
「紹介が来た。ありがたい」
です。

でも、現場側から見ると違います。

  • 送迎時間が重い
  • 他利用者との組み合わせが難しい
  • 1人を入れることで全体の送迎構造が歪む
  • 継続して回せるかが怪しい

つまりこれも、
単なる営業案件ではなく、
紹介時点で現場条件とのズレを確認すべきケースです。

紹介が来たこと自体はプラスです。

でも、紹介が来ることと、契約して回ることは別です。

契約前に確認すべきは料金・制度・期待値の3つ

今回の件を通して、今の僕が一番先に確認すべきだと思うのはこれです。

本人と家族が、介護保険の仕組みと料金をどう理解しているか。

ここです。

利用目的も大事。
体調も大事。
時間帯も大事。

でも、今回みたいに
「無料で通えると思っていた」
となると、その時点で契約土台が崩れています。

ここを体験前、あるいは体験直後の早い段階で揃えておかないといけない。

今なら、そう思います。

65話で本当に言いたいこと

もし今、
「紹介は来るのに契約に至らない」
と悩んでいる管理者に一言だけ言うなら、僕はこう言います。

最初に確認すべきこと

本人と家族が、料金と制度をどう理解しているか。

最初に疑うべきズレ

“うちの良さが伝わっていない”のではなく、“前提が共有されていない”ズレ。

65話の最後の一言

紹介は契約の入口ではあるけど、前提共有がなければ、そこが出口になる。

契約率を上げるには初回確認の仕組み化が必要

今回の話は、単なる失敗談で終わらせたくありません。

なぜなら、同じようなズレはこれからも起こる可能性があるからです。

だから本当は、

  • 初回確認で何を聞くか
  • 料金説明をどの段階で入れるか
  • 体験前にどこまで前提を揃えるか

こういうことを、感覚ではなく仕組みにしていく必要がある。

そうしないと、体験や契約準備に使った時間の全損は何度でも起きます。

その意味では、この話は将来的に
第90話|実務効率化ハブ
にもつながっていく話だと思っています。

契約前に確認しておきたい3つのこと

デイサービスの契約前に、料金理解・制度理解・現場条件の3つを確認する必要性を示した図解
紹介が来ても、料金・制度・現場条件の前提がズレていると契約で止まることがあります。

今回の件から、僕は契約前に最低限ここは確認しておくべきだと思いました。

  • 料金理解:本人・家族が1割負担や実費を理解しているか
  • 制度理解:区分支給限度額を「自由に使えるお金」と誤解していないか
  • 現場条件:送迎時間・曜日・本人の体調が継続可能な範囲か

この3つがズレたまま体験や契約に進むと、現場の努力とは関係ないところで契約が飛ぶことがあります。

紹介が来た時ほど、最初に見るべきなのは「来るかどうか」ではなく、「前提が揃っているか」です。

まとめ|デイサービス紹介が契約に至らない時は、前提共有を見直す

営業と現場のズレは、
「紹介が来ない」
ではなく、
紹介が来ても契約に至らない時 によく見えます。

今回のケースでは、

  • 体験利用はうまくいった
  • 通う流れにも見えた
  • でも契約で崩れた
  • 原因は、介護保険と料金の理解が共有されていなかったことだった

つまり、ズレていたのは
サービス内容より前の土台でした。

だから、紹介が来るのに契約に至らない時は、
営業力不足だけを疑わない方がいい。

本人、家族、ケアマネ、事業所。

この4者の前提が揃っているか。

そこを見ないと、
体験にかけた時間も、
契約準備も、
現場の段取りも、
全部吹っ飛びます。

営業で本当に必要なのは、
件数を増やすことより先に、
最初の前提をズラさないこと
なんだと思います。


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ABOUT ME
リハビリデイ管理者
リハビリ特化型デイサービスの現役管理者。 現場運営・稼働率改善・スタッフ管理など、実際のデイサービス経営のリアルを発信しています。 これまで複数のデイサービス事業所で勤務し、稼働率が低迷していた事業所の改善に携わる。 担当した事業所では、稼働率を58.5%から79.8%まで改善。 ケアマネジャーとの関係づくり、紹介数を増やす営業方法、現場オペレーション改善など、 現場経験をもとにした実践的なノウハウをまとめています。 「現場で本当に使えるデイサービス経営」をテーマに、 管理者・生活相談員・デイサービス経営者向けに情報を発信しています。