デイサービス稼働率の依存リスク|特定利用者に頼る小規模デイの落とし穴

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デイサービスの稼働率は、「利用者が増えたら勝ち」ではありません。
むしろ怖いのは、
気づかないうちに、特定の利用者さんや特定の属性に依存してしまうことです。
僕もそれを、何度も痛い形で学びました。
週4回利用。
午後固定。
施設入居者。
しかも同じ施設の利用者さんが他にもいて、送迎も組みやすい。
現場としては、本当にありがたい存在です。
- 4マス埋まる
- 午後が埋まる
- 送迎も回しやすい
管理者としては、正直うれしいです。
でも、今ならはっきり言えます。
その「ありがたい」は、構造が崩れる前触れかもしれません。
特定利用者への依存は、1人の休みで月10万円前後の損失リスクになる
小規模デイでは、1人の利用回数が多いほど、休止時の影響も大きくなります。
その方は、週4回利用でした。
僕のデイサービスは、
午前10名、午後10名の半日型です。
1週間の最大利用定員数で見ると、
100マスあります。
その中で、1人で4マス持っている。
平均すると、利用者さんの多くは週2回くらいです。
だから、その方は感覚として2人分に近い重さがありました。
来てくれている間はいいんです。
でも、体調不良で1週間休むと、
100マスあるうちの4マスが一気に消える。
ここで怖いのは、
「4マス減った」という見た目だけではありません。
その方は、当時の感覚で
1回あたり6,000円前後の売上でした。
つまり、4マス飛べば、
その週だけで約2万4,000円です。
しかも、高齢者の体調不良は、
1週間で戻るとは限りません。
入院や長期休みにつながれば、
月単位では約9万6,000円前後が静かに消えていく計算になります。
そう考えると、
「たった4マス」ではなく、
1人の休みが月の数字を変える構造だったわけです。
数字だけ見ても痛い。
でも、現場で受ける痛みは、
数字以上でした。
稼働率低下は売上だけでなくフロアの空気も変える
利用者さんが減ると、売上だけでなく、フロア全体の空気も変わります。
その方が休んだ週は、
午後のフロアが明らかに薄くなりました。
うちのデイサービスは、
もともと穏やかな雰囲気です。
だからこそ、人が減ると、
その穏やかさがそのまま寂しさになりやすい。
スタッフや利用者さんの会話の中でも、
「今日は寂しいですよね」
「人が少ないですね」
そんな言葉が出てきます。
でも、僕の内心は違いました。
いや、余計暗くなるから、利用者さんの前でそれ言うなよ。
そう思っていました。
人が少ない日は、
数字が落ちるだけじゃない。
- 空気も落ちる
- 場の温度も落ちる
- 利用者さんの感じ方まで変わる
だから、依存の怖さは、
単なる売上の話では終わりません。
週4回利用はありがたいが、小規模デイでは依存リスクにもなる
利用回数が多い利用者さんは、経営的にはありがたい存在です。
ただし、小規模デイでは、そのありがたさがそのまま依存リスクになることがあります。
当時の僕は、正直こう思っていました。
やった。
一気に4マス埋まった。
でも、あとから思いました。
それは諸刃の剣やった。
来てくれる間は助かる。
でも、休まれたら大打撃になる。
しかも、デイサービスの利用者さんは高齢者です。
- いつ体調を崩してもおかしくない
- 入院してもおかしくない
- 状態が変わってもおかしくない
そういう前提の中で、
1人に4マス依存するのは、やっぱり危ない。
僕はその時、はっきり思いました。
これは良くない。依存している。
だから今では、
基本的に全利用者さんの利用は最大2マスまでを意識しています。
どうしても独居で、
家で見る人がいないなどの事情が強い場合だけ、週3マスを例外で考える。
でも、それは例外です。
施設入居者への依存は、20〜30マスが一気に消えるリスクを持つ
1人への依存よりさらに怖いのは、同じ施設・同じ属性に利用マスが偏ることです。
ただ、今振り返ると、
本当に怖かった本丸は、この1人の話だけではありません。
もっと怖かったのは、
施設入居者という同じ属性に利用マスが偏っていたことです。
施設利用者さんは、送迎が組みやすいです。
同じ場所から複数人来てくれると、
効率もいい。
現場は回しやすくなります。
でも、その構造には落とし穴があります。
たとえば、
施設内で感染症が出る。
そうすると、どうなるか。
外出自粛で一気に20〜30マス飛ぶことがある。
これは本当に経験しました。
当時の感覚で、1回あたりの売上を6,000円前後で見ると、
20マス飛べば約12万円、
30マス飛べば約18万円です。
しかもこれは、
現場の雰囲気悪化や職員配置の無駄、
送迎再編の手間まで含んでいません。
数字だけでも痛い。
でも本当は、
数字以上に現場全体が揺れます。
その時に痛感しました。
1人依存も危ない。でも、もっと危ないのは属性依存だ。
送迎効率がいい。
契約がまとまりやすい。
埋まり方も早い。
そのメリットの裏で、
同じ属性に偏っていたら、何か起きた時に一気に崩れます。
施設利用を減らす時は、ゼロか百かではなく依存度を下げる
施設利用を見直す時に大事なのは、単純に「減らす」「断る」と考えないことです。
現実的には、本人の希望、施設の事情、ケアマネの判断を踏まえながら、依存度を下げる形を探す必要があります。
実際、僕は管理者2年目の時に、
施設利用者さんを減らす方向で一度動きました。
1か月、感染症の影響で外出自粛になった時です。
その間に、在宅で暮らしている利用者さんを増やすため、
今利用してくれているケアマネさんへ営業をかけました。
それで利用者が増えてきて、
待っている方、いわゆる「お待ちの方」を作ったんです。
そのうえで、施設やケアマネさんに対して、
「お待ちの方がいるので、一旦利用中止や他に方法はないですか」
という相談を持ちかけました。
すると、施設やケアマネを通して本人と相談してもらい、
まだ外に出られないということで、一旦中止になりました。
ただ、現場はそんなにきれいに終わりません。
しばらくすると、
やっぱり利用したいと連絡があり、利用再開になる。
ここが難しいところです。
- 構造は変えたい
- でも、利用者さん本人の希望もある
- 施設の都合もある
- ケアマネの判断もある
だから、管理者の仕事は
「ゼロか百か」ではありません。
依存を完全になくすことではなく、
依存度を下げること。
そこを現実的にやるしかないんです。
構成管理では、利用回数と属性の偏りを見る
稼働率を安定させるには、「何人いるか」だけでなく、「どんな利用マスで埋まっているか」を見る必要があります。
まだ完全には変えきれていませんが、
施設入居者の利用マスを30マスから20マスへ減らしました。
理由はシンプルです。
外出自粛や感染拡大が起きた時のリスク分散です。
送迎が楽だから。
埋まりやすいから。
稼働率が上がりやすいから。
そのメリットはある。
でも、管理者として見るべきなのは、
「平時にどれだけ回しやすいか」だけではありません。
何か起きた時に、どれだけ崩れにくいか。
そこです。
構造を変える第一歩は、利用者を細かくジャンル分けすること
稼働率を守る第一歩は、人数を見ることではなく、利用マスの偏りを見える化することです。
この経験のあと、僕は利用者さんをかなり細かく見直しました。
といっても、特別なことではありません。
週間利用マス表を見ながら、
利用者さんをジャンル分けしただけです。
たとえば、こんな感じです。
- 在宅か、施設入居か
- 在宅なら、家族同居か、独居か
- 施設入居者の利用マスは全体で何マスか
- 要支援と要介護の比率はどうか
- 要介護区分ごとの割合はどうか
- 男性と女性の比率はどうか

読者の多くも、
おそらく利用表や週間マス表はすでに持っていると思います。
でも、大事なのは、
表を持っていることではありません。
偏りを見る視点を持つことです。
僕はここでようやく気づきました。
構造を変える第一段階は、
「埋まっているかどうか」を見ることではない。
どこに偏りが出ているかを分解して見ることです。
そこが見えたら、
次はそのジャンルを組み替えた時に、数字がどう変わるかを見る。
この順番です。
ここを感覚だけでやると、
また「なんとなく埋まっている」状態に戻ります。
だから僕は、
週間利用マス表で偏りを見るようになりました。
将来的には、こういう偏りをもっと見える化するために、
数字を管理する仕組みや会計ソフトのような道具が必要になるとも思っています。
小規模デイの稼働率は、勝つより負けない構成を作る
小規模デイでは、稼働率を上げることだけでなく、崩れにくい構成を作ることが大切です。
管理者をしていると、
4マス埋まると嬉しいです。
午後が埋まると安心します。
送迎が組みやすいと助かります。
その気持ちは、僕もよくわかります。
でも、そこで止まると危ない。
「埋まった」ではなく、
「その埋まり方は偏っていないか」を見ないといけない。
僕が昔の自分に言うなら、これです。
それ、危険信号ですよ。
どうやってリスクを減らせるか、そこを考えましょう。
勝つことよりも、負けないことが大事だよ。
小規模デイは、
1人、1施設、1属性の偏りで簡単に揺れます。
だからこそ管理者は、
利用者を「人数」で見るのではなく、構成で見る必要があります。
4マス埋まったことを喜ぶ前に、
その4マスが何に依存しているのかを見る。
そこから先が、
本当の意味での稼働率管理だと僕は思っています。
まとめ|小規模デイの稼働率は「人数」ではなく「構成」で見る
特定利用者への依存は、
来てくれている間は見えにくいです。
でも、休まれた瞬間に、
数字も空気も一気に崩れます。
さらに怖いのは、
1人への依存の奥に、施設依存や属性偏りが隠れていることです。
小規模デイ管理者が最初にやるべきことは、
「埋めること」ではありません。
まずは、どこに偏りがあるかを細かくジャンル分けすること。
そこからしか、
負けない構造は作れません。
FAQ|デイサービス稼働率の依存リスクでよくある疑問
特定利用者の利用回数が多いことは悪いことですか?
悪いことではありません。
週3回、週4回の利用が必要な方もいます。
ただし、小規模デイでは1人の利用回数が多いほど、その方が休んだ時の影響も大きくなります。
大事なのは、利用回数が多いことを責めることではなく、その影響を管理者が把握しているかです。
施設入居者の利用を減らした方がいいですか?
単純に減らせばいい、という話ではありません。
施設入居者さんは、送迎効率や利用の安定という面で大きな助けになります。
一方で、感染症や外出自粛などが起きた時に、同じ属性の利用マスが一気に減るリスクもあります。
だから見るべきなのは、施設入居者がいるかどうかではなく、全体の中でどれくらい偏っているかです。
依存リスクを見るために、最初に何を確認すればいいですか?
まずは週間利用マス表を見て、利用者さんをジャンル分けすることです。
- 在宅か、施設入居か
- 独居か、家族同居か
- 週何回利用か
- 要支援と要介護の比率
- 特定施設や特定属性に偏っていないか
最初から難しい分析をする必要はありません。
まずは、どこに偏りがあるかを見える化することが第一歩です。
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