第6話|稼働率50%台のデイサービスを70%台まで上げた話 管理者として最初に変えたこと

2021年冬、私はデイサービスの管理者になりました。
当時の年間稼働率は58.5%。
その後の推移はこうです。
- 2021年:58.5%
- 2022年:64.9%
- 2023年:79.8%
- 2024年:76.7%
- 2025年:73.0%
数字だけ見ると順調に見えるかもしれません。
でも実際は、かなり泥臭い時期を通ってきました。
管理者になった当時のデイサービスは、かなり重かった
管理者になった頃は、コロナがまだ5類になる前でした。
施設入居の利用者さんが多く、施設内でコロナが広がれば外出自粛になる。
それが年に数回、3か月くらい続くこともありました。
現場の雰囲気もよくなかったです。
- スタッフ同士の私語が多い
- 社長がデイに入ると敵が来たような空気になる
- 見学に行った時は、お通夜のように静かだった
リハビリ特化型を名乗っていたけれど、実際の中身は
- 自転車
- 電気の足湯
- 機械に乗せるだけ
が中心で、終われば席で本を読んでいるだけでした。
ドリンクも10種類以上あり、しかも本人の好みに合わせて濃さまで調整していた。
私はそれを見て、正直「無駄が多い」と感じました。
機能訓練士も柔道整復師でしたが、個別機能訓練と言いながら、実際には体をさするだけでした。
さらに厳しかったのは、前管理者と社長の関係が最悪だったことです。
私は社長の友人として、
「デイサービスを変えてほしい」
と頼まれて転職しました。
だから前管理者側から見れば、私は敵だったと思います。
本来は2か月間の引き継ぎ予定でしたが、前管理者は1か月ほどで辞めました。
その結果、業務が分からないまま管理者を始めることになりました。
影では悪口も聞こえてきた。
利用者さんからも、スタッフからも嫌われた。
本当にきつかったです。
最初に変えたのは「雰囲気」でした
当時の私はまず思いました。
「こんなお通夜みたいな雰囲気のところに、人は集まらない」
だから最初に変えようと思ったのは、雰囲気でした。
私は一人で、
- 大きな声
- 明るい声
- 笑顔
をやり続けました。
リハビリ内容も変える必要がありました。
機械に座らせるだけでは、スタッフは何もしなくなるからです。
だから、
- スタッフも一緒に体操する
- 利用者さんに声をかける
- 集団体操をする
- 「一緒に頑張る仲間」という意識を作る
ことを意識しました。
利用者さんの体は、ただ機械に乗せていれば良くなるわけではありません。
高齢者は希望がなくなると意欲が落ちます。
だから私は、少し大げさでも
「2か月で体が変わるよ」
と言っていました。
はったりでもいいから、希望を持ってもらいたかったんです。
独居で85歳以上の利用者さんが多く、家でやることはテレビを見るだけ。
感動のない老後になっている人が多かった。
だから私は、ある意味ピエロになるつもりでやっていました。
来る時より、帰る時のほうが少し元気になってもらう。
それが最初に作りたかった価値でした。
送迎も営業も、全部自分でやりました
その頃の私は、ほぼ休憩なしで送迎に入っていました。
一番遠い家。
介護量が多い人。
そういうところは、自分で行きました。
片道1時間かかるような場所にも迎えに行ったことがあります。
稼働率が70%に乗るまでは、とにかく無理をしました。
本当に無理しました。
でもそれを続けていくうちに、今まで知らなかった居宅介護支援事業所からも声がかかるようになりました。
周囲の反応は、最初かなり厳しかったです
スタッフは、引いていたと思います。
白い目で見ていたと思います。
当時の機能訓練士には、
「真面目にやってくださいよ。スタッフついてきませんよ」
と言われたこともありました。
利用者さんの反応も様々でした。
- 怒る人
- うるさいと言う人
- 笑ってくれる人
- 「この仕事が天職だ」と言ってくれる人
ただ、今振り返ると、プラスの反応をしてくれた人が9割くらいでした。
残り1割が怒ったり、クレームを言ったりした印象です。
ケアマネからは、
「最近ここ、雰囲気よくなりましたね」
と言われるようになりました。
利用者さんからも同じようなことを言われました。
一番つらかったのは、数字より孤立といじめでした
正直、一番つらかったのは数字ではなく、人間関係でした。
私は前職では一般介護職員として、仲の良いチーム作りを大切にして働いていました。
だから、新しい職場でもみんなで作り上げるデイサービスを想像していました。
まさか、ここまでスタッフから嫌われ、いじめられるとは思っていませんでした。
スタッフが辞めていくのも苦しかったです。
人がいなければ営業もできない。
会社は友人である社長のものだから、稼働率を下げるわけにもいかない。
そこは本当にしんどかったです。
ただ、ケアマネからの紹介は増えていきました。
そこが支えにはなりました。
稼働率改善の裏には、数字に出ない孤立があります。
変化が出たのは半年後でした
分かりやすく利用者数が増えたと感じたのは、半年後くらいでした。
利用者さんの笑顔でいる時間が増えた。
私に冗談を言うようになった。
笑い合うことが増えた。
デイ全体の雰囲気が柔らかくなりました。
数字で見ても、2022年には64.9%、2023年には79.8%まで伸びました。
雰囲気を変えても、数字はすぐには動きません。
でも、半年後くらいから空気が変わり、そのあと数字がついてきました。
稼働率50%で悩む管理者に、最初に伝えたいこと
もし今、稼働率50%前後で悩んでいる管理者がいるなら、まずこれを伝えたいです。
「なぜ50%なのかを分析してほしい」
原因はいろいろあります。
- 紹介が少ないのか
- 体調不良や入院が重なったのか
- コロナなど感染症の影響か
- そもそも事業所の特色が弱いのか
まずは原因を調べること。
次に、損益分岐点を知ること。
その上で、
- あと何%上げればいいのか
- 自分の事業所の強みは何か
を考える。
もしそれがまだ分からないなら、最低限やるべきことはシンプルです。
笑顔の多い、優しい雰囲気を作ること。
笑顔のない場所に、人は集まりません。
それでも難しければ、ケアマネの無理を聞きまくる。
それも一つの戦略です。
この流れをより深く読むなら、あわせて2つの記事を読んでほしいです。
まず、ケアマネに嫌われることが売上にどう響くのかは、第5話で整理しています。
そして、ケアマネの無理なお願いをどう判断して受けてきたのかは、第7話で書いています。
次に読むべき記事
第25話:「忙しくなるなら利用者はいりません」と言われた日
→ 修羅場の正体が「人の気持ちのズレ」なら、この話が続きになります。
別角度で読む記事
第8話:稼働率・経営数字のリアル
→ 現場のしんどさを、数字の側から見るならこちらへ。
ハブ記事
リハビリ特化型デイサービス管理者の仕事ロードマップ
→ 管理者の仕事全体をまとめて追いたい方はこちら。


