デイサービスの管理者になったばかりの頃、私はこう思っていました。

「紹介をもらう側だから立場は弱い」

普通の営業とは少し違います。
ケアマネジャーが、うちのデイサービスを覚えてくれていなければ、新しい利用者の紹介は来ません。

紹介が来ないということは、
売上が伸びない
ということです。

だから私は当時、こう思っていました。

ケアマネに嫌われたら、本当に紹介は止まる。

しかも怖いのは、そこだけではありません。
ケアマネには横のつながりがあります。

例えば、和歌山市だけでも居宅介護支援事業所は300件前後あります。
その世界で悪い噂が広まるのは本当に早い。

だから私は当時、
ケアマネを壊れそうなガラスのように扱っていました。

それくらい気を使っていたのを覚えています。

管理者になって最初の大きな衝撃

今のデイサービスの管理者になったのは5年前です。

私は別の会社で介護福祉士として働いていましたが、引き抜きという形で管理者になりました。

ただ、ここで大きな問題がありました。

前の管理者と、私の考え方が全く違ったのです。

そのデイサービスはリハビリ特化型でしたが、実際には

  • 本を読む
  • 機械に乗るだけ

といった、静かな雰囲気の施設でした。

見学に来たとき、正直に言うと

「お通夜みたいな雰囲気だな」

と感じました。

ただ、その雰囲気が好きな利用者さんも多かった。
当時の稼働率は50%前後でした。

さらに、

  • 前管理者と社長の関係は最悪
  • 新しい加算も取らない
  • 利用者負担が増えるからという理由で止まっている

という状況でした。

しかし私は思いました。

「このままではデイサービスは潰れる」

今いる利用者さんだけではなく、未来の利用者さんに選ばれるデイサービスを作らないといけない。

だから私は一人で変えました。

  • 大きな声
  • 明るい声
  • 笑顔

とにかくやり続けました。

変えた結果、最初は全部が悪化した

結果は大変でした。

  • スタッフから嫌われる
  • 利用者さんからクレーム
  • 利用者さんが辞める
  • スタッフも辞める

正直、怖かったです。

それでも続けました。

すると、さらに困ったことが起きました。

ケアマネからの紹介も減ったのです。

ここはかなりきつかった。

現場を変えようとしている。
でも、職員も揺れる。
利用者さんも揺れる。
そして、紹介まで減る。

管理者としては、かなり苦しい局面です。

それでも3か月後、流れは変わった

ただ、その後に変化が起きます。

3か月ほど経つと、今まで紹介してくれなかった居宅介護支援事業所から、紹介が増え始めました。

そして次の年、稼働率は70%台まで上がりました。

ここで私は一つ学びました。

ケアマネは、目先の好き嫌いだけで紹介しているわけではない。

利用者さんの反応。
現場の雰囲気。
紹介した後の満足度。
そういうものを見ている。

だから、短期ではしんどくても、構造として正しい変化なら、あとから評価がついてくることがある。

主導権はケアマネが握っている

現場をやっていると、こういう場面があります。

「このお願い聞いてよ。今度利用者紹介するから。」

これはかなりリアルな話です。

つまり、主導権はケアマネが握っているということです。

もちろん、全部をそのまま聞くわけにはいきません。
でも、紹介をもらう側である以上、その空気を無視することもできない。

ここが、デイサービス管理者にとっての営業の難しさだと思います。

普通の営業みたいに、こちらから売り込んで終わりじゃない。
相手の信頼を積みながら、選ばれる側として待つ構造です。

ケアマネからの紹介は、電話一本で急に来る

他社ケアマネからの紹介は、基本的に電話です。

ただ、ケアマネにもいろいろなタイプがあります。

しっかり情報をくれるケアマネもいれば、

  • 名前
  • 生年月日
  • 住所
  • 既往歴

それだけのこともあります。

さらに突然、

「明日お試しできますか?」

と言われることもあります。

ケアマネも、利用者さんにデイサービスを紹介するとき、複数のデイサービスを見てもらって決めてもらう流れがあります。

だからそこは、仕方ない部分もあります。

ちなみに自社ケアマネは、意外と情報が少ないこともあります。
無理に紹介してくれることもあるので、そこは難しいところですね。

紹介はありがたい。でも、情報が足りない紹介は現場リスクにもなる。

この矛盾を抱えながら回すのが、管理者の現実です。

一番大事なのは、利用者さんの満足度だった

管理者として働いてきて思うことがあります。

一番大事なのは、利用者さんの満足度です。

利用者さんがデイサービスを気に入ってくれると、その話をケアマネにしてくれます。

するとケアマネは、

「あのデイは良いところなんだ」

と信頼してくれるようになります。

つまり、紹介を増やしたいなら、営業トークだけでは足りない。

利用者さんの満足が、いちばん強い営業材料になるんです。

その次に大事なのは、スピードだった

それに加えて大事なのは、スピードです。

「紹介したい」と言われたら、すぐ対応する。

このスピードの差は、ケアマネの印象の差になります。

他にも、情報共有は大事です。

ケアマネの中には、細かい情報を喜ぶ人もいます。

その情報を家族に伝えることで、

「よく連絡してくれるケアマネ」

と思われるからです。

ただし、連絡が多いと嫌がるケアマネもいます。

ここは今でも見極めが難しいですね。

つまり、関係づくりは数を打てばいいわけではなく、相手ごとに調整が必要です。

なぜ今、ケアマネを目指しているのか

私がケアマネ試験を受けている理由は、制度的にケアマネを理解したいからです。

ケアマネはなぜあの動きをするのか。
どんなことで信頼するのか。
どんなことで信頼を失うのか。
どんな事業所に紹介したいのか。
どんな事業所に紹介したくないのか。

それを知りたいと思いました。

もちろん、自分の将来の選択肢を増やすという理由もあります。

でもそれ以上に、ケアマネの世界を理解したいという気持ちが大きいです。

紹介をもらう側として弱い立場に立たされるからこそ、相手の頭の中を理解したい。
それが今の勉強の動機にもつながっています。

まとめ|ケアマネに嫌われると、売上は短期で揺れる。でも本質はそこだけではない

デイサービス管理者がケアマネに嫌われると、売上はどうなるのか。

結論から言うと、短期ではかなり揺れます。

紹介は減るかもしれない。
空気も悪くなるかもしれない。
管理者のメンタルもかなり削られます。

でも、本質はそこだけではありません。

一番大事なのは、

  • 利用者さんが本当に満足しているか
  • 対応が早いか
  • 情報共有が適切か
  • 現場が信頼される状態になっているか

ここです。

勘違いしやすいのは、ケアマネに好かれること自体が正解だと思うこと。
一番危ない見落としは、紹介の恐怖に引っ張られて、利用者満足よりケアマネの顔色を優先してしまうことです。

私は実際に、紹介が減る怖さも見ました。
でもその一方で、現場を変えて、利用者さんに選ばれるようになると、あとから紹介が戻ってくる流れも見ました。

だから今は思います。

ケアマネとの関係は大事。
でも、それ以上に大事なのは、紹介された利用者さんがちゃんと満足する現場を作ることです。


次に読むべき記事
第16話:OT突然退職の現場
→ 管理者の修羅場は、人が揺れた瞬間にさらに濃くなります。

別角度で読む記事
第25話:「忙しくなるなら利用者はいりません」と言われた日
→ 現場と経営のズレを、別の角度から見るならこちらです。

ハブ記事
リハビリ特化型デイサービス管理者の仕事ロードマップ
→ 管理者の仕事全体をまとめて追いたい方はこちら。

ABOUT ME
リハビリデイ管理者
リハビリ特化型デイサービスの現役管理者。 現場運営・稼働率改善・スタッフ管理など、実際のデイサービス経営のリアルを発信しています。 これまで複数のデイサービス事業所で勤務し、稼働率が低迷していた事業所の改善に携わる。 担当した事業所では、稼働率を58.5%から79.8%まで改善。 ケアマネジャーとの関係づくり、紹介数を増やす営業方法、現場オペレーション改善など、 現場経験をもとにした実践的なノウハウをまとめています。 「現場で本当に使えるデイサービス経営」をテーマに、 管理者・生活相談員・デイサービス経営者向けに情報を発信しています。