デイサービスの稼働率は、
頑張ればどこまでも上げられるわけではありません。

営業を頑張る。
紹介をもらう。
ケアマネとの関係を作る。

そこまではできても、最後に止まることがあります。

それが、送迎です。

この記事の結論
デイサービスの稼働率は、空き枠だけでは判断できません。
送迎車の台数、スタッフ数、送迎時間、利用者さんのエリアが噛み合わないと、
定員に空きがあっても受け入れできないケースがあります。

この記事では、週間100マス中95マスが埋まっていた状態で、
片道1時間の利用者さんを受けられなかった実例をもとに、
送迎制約と稼働率の関係を整理します。

しかも厄介なのは、
この壁が気合いや善意では突破できないことです。

  • 車の台数
  • スタッフの人数
  • 利用時間
  • 送迎ルート
  • 同じ時間に動く利用者さんの数

そこが詰まった瞬間、
受けたい利用者さんがいても、断るしかありません。

今回は、僕が実際に経験した、
「受けたいのに受けられなかった」ケースの話をします。


デイサービス送迎で片道1時間は受けられるのか

その方は、退院したばかりの在宅生活の方でした。

下肢筋力が落ちていて、
午前利用を希望されていました。

同じ和歌山市内ではあるけれど、
片道1時間以上かかる場所でした。

正直、受けたい気持ちはありました。

ケアマネも、無理を承知でお願いに来てくれた。
それだけ困っていたんだと思います。

だから、僕としては、
なんとか頑張れないかを考えました。

でも、結果は無理でした。


利用マス95%でも受け入れできなかった理由

その時点で、うちの週間利用最大定員数は100マス
そのうち、95マスが埋まっていました。

数字だけ見ると、
まだ5マス空いています。

デイサービスの稼働率は空き枠だけでは判断できず、送迎車、時間、スタッフ数、利用エリアの条件で受け入れ可否が決まることを示した図解
数字上は空きがあっても、送迎車・時間・人が噛み合わなければ受け入れはできません。稼働率は最後に物理条件で止まります。

でも、現場はそんなに単純じゃありません。

送迎車は4台
スタッフ人数にも限りがある。

しかも、その方の希望は午前でした。

午前のその単位は、
定員10名に対して、実利用9名でした。

一見すると、
「あと1人いけそう」に見えます。

でも実際は違います。

そこに片道1時間の送迎を入れると、
車が回りません。

1人増やすだけで、前後の送迎全体が崩れる。

だから、無理でした。

この時に痛感しました。

稼働率は、枠だけ見ていても上がらない。最後は送迎の物理で止まる。


送迎制約で断る時に怖いのは、売上よりケアマネの印象

その時、別に
「1人断ったから売上が大打撃」
という感覚ではありませんでした。

95マス埋まっていたので、
その瞬間の数字だけ見れば、そこまで痛くない。

でも、僕が頭の中で考えていたのは別のことでした。

今断ると、ケアマネに 「あそこはいつも埋まっている」 と思われるだろうな。

そこです。

今は埋まっているからいい。

でも、利用者数が減った時に、
本当は空きがあるのに、

  • どうせあそこは断られる
  • いつも待ちがあるはず
  • 別のデイにしよう

そう思われたら、後から苦しくなります。

デイサービスは、
「今日の1件」だけで回っていません。

今断った印象が、数か月後の紹介数に響く。

僕が怖かったのは、その構造でした。


ケアマネ紹介を断らない方針でも、送迎の物理限界は超えられない

僕の考え方の基本は、
できるだけケアマネからの依頼は断らないです。

紹介を断り続けると、
紹介そのものが減るからです。

でも、最初の改革期は、
そんなことばかり言っていられない時もありました。

特に、稼働率を立て直す時は、
とにかく利用者さんを増やせばいいわけではありません。

近くの利用者さんを優先して入れる。
送迎が成立する形で埋める。

そこをやらないと、
契約は増えても、現場が持ちません。

ここは管理者として、かなり苦しい判断です。

受けたい。
でも受けられない。

善意ではなく、
物理で止まる。

この悔しさは、現場を回している人ならよく分かると思います。


送迎体制を大きく変えなくても、利用者の取り方は変えた

正直に言うと、
この件のあとで送迎体制を大きく変えたわけではありません。

でも、考え方は変わりました。

まず、利用者さんの利用枠は、
1人1〜2枠に抑えることを基本にしました。

施設入居者さんの利用マスも、
20マスまでに抑えています。

そして、できるだけ
デイサービスに近い利用者さんが来られるように動くようになりました。

たとえば、ケアマネへの営業です。

「和歌山市○○地区近辺の方でしたら、今1枠空いています」

そんな形で、
近辺利用者を狙ったFAXやチラシを送る。

遠い人を何とか入れる努力より、
近い人が入りやすい状態を作る方が、結果的に負けにくい。

今はそう考えています。


送迎で断った後は「いつも満員」と思われない工夫が必要

この話の厄介なところは、
送迎で断ったこと自体より、
ケアマネにどう記憶されるかが後に残ることです。

その時は紹介したい利用者さんがいなくても、
ケアマネの頭の中には印象が残ります。

  • あそこはいつも埋まっている
  • 断られることが多い
  • 紹介しても受けてもらいにくい

こういう印象です。

逆に言えば、
空き枠の情報をこまめに伝えていると、

  • そういえばあそこ、今空きがあるって言ってたな
  • 近辺の利用者さんなら相談しやすいな
  • まずあそこに聞いてみよう

と思い出してもらえる可能性が上がります。

だから僕は今、
「いつも埋まっているわけじゃないですよ」
という情報を、意識して伝えるようにしています。

これは単なる営業ではありません。

送迎制約で断らざるを得ない事業所ほど、“断った後の印象管理”が重要になります。


小規模デイは送迎表と週間利用マス表で限界を確認する

小規模デイの管理者が最初にやるべきことは、
「もっと頑張る」ではありません。

まず見るべきは、
送迎表と週間利用マス表です。

送迎の限界を見る時は、空き人数ではなく、
時間帯・エリア・車両・スタッフ数の4つを同時に確認する必要があります。

確認するポイントは、主に次の4つです。

  • その時間帯の送迎車に余裕があるか
  • 利用者さんの自宅エリアが既存ルートに近いか
  • 送迎に出られるスタッフ数が足りているか
  • その1人を入れても次の便や現場開始時間に影響しないか

送迎表と週間利用マス表を見れば、

  • どの時間帯が詰まりやすいか
  • どのエリアが遠すぎるか
  • どの便がすでに限界か
  • あと1人ならいけるのか、本当に無理なのか

だいたい見えてきます。

送迎の問題は、
根性論で考えると事故ります。

「なんとかなるやろ」で受けると、

  • 車が遅れる
  • 現場が崩れる
  • 職員が疲弊する
  • 次の便にしわ寄せが出る

こうなります。

だから、最初に見るべきなのは、
気持ちではなく物理条件です。


デイサービスの稼働率は営業ではなく送迎で止まることがある

デイサービス経営の怖いところは、
需要があるのに取れない瞬間があることです。

紹介もある。
希望もある。
受けたい気持ちもある。

でも、送迎が回らない。

その瞬間、
稼働率は営業ではなく物理で止まります。

ここを理解しないまま、
「まだ空きあるなら取れるでしょ」
と考えると、現場は壊れます。

だから僕は、
送迎の壁をただのオペレーション問題ではなく、
経営の物理的限界として見るようになりました。


まとめ|デイサービスの稼働率は車・時間・人で決まる

送迎パズルには、
工夫で超えられる範囲と、
どうやっても超えられない範囲があります。

今回の条件は、こうでした。

  • 片道1時間
  • 送迎車4台
  • スタッフ数にも限りがある
  • 午前枠は9/10まで埋まっている
  • 週間100マス中95マスが埋まっている

この条件で、さらに1人を受けるのは、
善意ではなく無理でした。

大事なのは、
断らないことを美徳にしすぎないことです。

その代わり、

  • 近い利用者さんを優先する
  • 空き情報をケアマネに伝える
  • いつも埋まっていると思われないようにする
  • 送迎表と利用マス表で物理限界を把握する

そこを積み重ねる。

稼働率は、気合いだけでは上がりません。

最後は、車と時間と人で決まる。

だからこそ管理者は、
「受けたいか」だけでなく、「本当に回るか」を見ないといけないんだと思います。


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ABOUT ME
リハビリデイ管理者
リハビリ特化型デイサービスの現役管理者。 現場運営・稼働率改善・スタッフ管理など、実際のデイサービス経営のリアルを発信しています。 これまで複数のデイサービス事業所で勤務し、稼働率が低迷していた事業所の改善に携わる。 担当した事業所では、稼働率を58.5%から79.8%まで改善。 ケアマネジャーとの関係づくり、紹介数を増やす営業方法、現場オペレーション改善など、 現場経験をもとにした実践的なノウハウをまとめています。 「現場で本当に使えるデイサービス経営」をテーマに、 管理者・生活相談員・デイサービス経営者向けに情報を発信しています。