第54話|17:30からの「第二ラウンド」|書類が溜まる構造的欠陥

デイサービスの仕事って、17:30で終わるように見えるかもしれません。
でも、管理者をやっていると分かります。
本当のしんどさは、その後に始まることがあります。
午後の送迎が終わる。
事業所に戻る。
掃除をする。
職員がみんな帰る。
そして、自分だけ残る。
あの瞬間です。
いつもはガヤガヤしているデイサービスの中が、急にシーンとする。
その静けさの中で、ようやく「第二ラウンド」が始まります。
現場は終わった。
でも、仕事は終わっていない。
この感覚は、管理者をやった人ならかなり分かると思います。
第二ラウンドで残るのは、だいたい「書類業務全般」です

17:30以降に押し出される仕事って、結局だいたい同じです。
- LIFE
- 計画書
- シフト
- 送迎表
- 業務日誌
つまり、書類業務全般です。
しかも厄介なのは、どれも「やらなくていい仕事」ではないことです。
後回しにできそうに見える。
でも、本当は後回しにすると苦しくなる仕事ばかりです。
だから夜に残る。
夜に残るから、またしんどくなる。
このループができると、管理者の仕事はかなり重くなります。
なぜ、昼にできないのか。理由は「現場」にいたからです
今なら少し引いて見られますが、1年前までの僕は、現場にほぼ100%出ていました。
やる間がなかった。
本当に、それに尽きます。
もちろん、人を入れて、自分が書類業務に回るという選択肢もありました。
でも、当時の事業所には前の管理者から続く価値観が強く残っていました。
静かで、おとなしくて、ガヤガヤしない空気のデイサービス。
そこを変えたかったんです。
「来たら元気になれる」
「来たら笑顔になれる」
そういうデイサービスにしたかった。
だから4年間、僕はずっと現場に出ていました。
自分が先頭に立って、価値観を変えることをテーマにしていました。
その結果、日中に書類業務をやる時間は、ほとんどありませんでした。
ここは、今振り返るとかなり大事です。
書類が溜まった原因は、サボっていたからじゃない。
現場を理想の形に変えるために、昼のエネルギーを全部そこへ注ぎ込んでいたからです。
一番しんどかったのは、量より「判断力の枯渇」でした
第二ラウンドで何が一番きついか。
量もあります。
終わりが見えない感じもあります。
でも、僕にとって一番きつかったのは、判断力が切れていることでした。
眠くなる。
疲れている。
現場に100%で出ていたから、もうかなり消耗している。
しかも当時は、制度や書類業務に今ほど詳しくありませんでした。
だから、調べながらやる。
確認しながらやる。
止まりながらやる。
これが本当にしんどかった。
ただ作業するだけならまだいいんです。
でも、分からないものを調べながらやる夜の書類業務は、かなり脳を削ります。
昼に生命力を使い切って、夜に判断力を絞り出す。
この構造そのものが、かなりきつかったです。
焼け石に水だった工夫もありました
当時、もちろん何もしていなかったわけじゃありません。
たとえば計画書。
「大きな変わりがなければ、日付だけ変更して評価して新しい計画書を作る」
そういうやり方もしていました。
でも、これはあまり良くありませんでした。
利用者さんには変化がある。
現場も動いている。
なのに形式だけ回すと、現実に合わない計画書ができてしまう。
見た目は片付く。
でも、中身が弱くなる。
これでは意味がありませんでした。
あと、
「1日1人、計画書を作る」
と決めたこともありました。
これも考え方自体は悪くなかったです。
でも現実は、集中力が切れる日もある。
割り込みもある。
想定どおり進まない。
そうなると、予定は崩れて、結局また溜まっていく。
やっぱり、気合だけでは続きませんでした。
第二ラウンドを軽くしたのは、「右腕」と「理解」と「AI」でした

じゃあ、何が変わって第二ラウンドが少し軽くなったのか。
答えは、気合じゃありませんでした。
1. 「右腕」への委譲
一番大きかったのは、僕の右腕ができたことです。
現場を安心して任せられる人がいる。
これが本当に大きかった。
ただ、ここで言う「右腕」は、最初から完璧な人ではありません。
現場の判断を一部任せても、最後は僕が責任を取れる。
そう思えた人です。
そうすると、自分が現場を少し抜けられる。
その分、質の高い計画書が作れるようになる。
第二ラウンドを軽くするには、自分が頑張るより、自分が抜けても回る現場を作る方が強い。
2. システムの理解
それに加えて、システムの機能に詳しくなったことも大きかったです。
サポート窓口に何度も電話して、かなり教えてもらいました。
分からないまま苦しむより、使い方を覚えた方が早い。
これはかなり実感しました。
3. AIによる「脳の節約」
さらに大きかったのが、AIです。
これは単なる時短というより、脳の節約でした。
計画書の文言を0から考えるのは重い。
でも、AIにたたき台を作らせて、自分はそれを直す側に回る。
つまり、
0から1を作る作業を飛ばして、1を2に整える方へ回る
ということです。
これだけで、夜の疲れた脳でも仕事が回りやすくなりました。
AIを入れたことで、どうでもいい所に脳を削られず、本当に大事な判断に脳を使えるようになった。
つまり問題は「夜に残ること」ではなく、「昼に終わらない構造」です

ここが54話で一番言いたいところです。
第二ラウンドって、気合の問題にされやすいです。
- 管理者だから仕方ない
- 夜にやるしかない
- みんな帰った後にやるもの
- 忙しい時期はそんなもの
でも、本質はそこじゃない。
問題は、
なぜその仕事が昼に終わらない構造になっているか
です。
- 現場に出すぎていないか
- 抜けられない構造になっていないか
- 書類業務を自分一人で抱え込みすぎていないか
- システム理解が足りず、毎回調べながらやっていないか
- 言葉を整えるだけで脳を使い切っていないか
このへんを見ないと、ずっと同じことが起きます。
17:30からの第二ラウンドは、根性で発生しているわけじゃない。
昼の構造的欠陥が、夜という時間に吹き出しているだけです。
昔の自分に言うなら、「気合でやるな」です
昔の自分に言うなら、はっきりこれです。
気合でやるな。
もし今も現場100%で出ているなら、それはたぶん続かない。
もちろん、現場に出ること自体は悪くないです。
僕もそれで価値観を変えてきた部分があります。
でも、ずっと100%で出続けながら、夜に全部回収するやり方は長く持ちません。
だから大事なのは、自分が抜けてもいい現場を作ることです。
そのために必要なのは、職員教育です。
職員づくりです。
未来に向けた投資です。
1日のうち30分でもいい。
その時間を、未来のために使う。
これはかなり大きい投資です。
もちろん、育てても辞めていくことはあります。
その投資がゼロになるように見えることもあります。
でも、それでもやらないと、管理者はずっと自分の夜を削り続けることになります。
まとめ
17:30から始まる第二ラウンド。
あれは単なる残業じゃありません。
昼に終わらなかった仕事が、静かな事業所の中で一気に押し寄せてくる時間です。
LIFE。
計画書。
シフト。
送迎表。
業務日誌。
どれも必要で、どれも後回しにすると苦しくなる。
でも、その原因は「自分が弱いから」でも「気合が足りないから」でもない。
昼に終わらない構造のまま、夜で回収しようとしていることが問題なんだと思います。
だから必要なのは、夜を気合で乗り切ることじゃない。
- 自分が抜けても回る現場を作る
- 書類業務の理解を深める
- システムを使いこなす
- AIを入れて脳の使い方を変える
- 未来のための30分を作る
こっちです。
第二ラウンドをなくすのは難しいかもしれない。
でも、軽くすることはできる。
そして、その軽さは気合じゃなく、構造で作るものだと今は思っています。
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