デイサービスの管理者をしていると、ケアマネジャーからいろいろなお願いをされます。

中には、正直に言って

「これ無理じゃない?」

と思うものもあります。

実際に、私のデイサービスであったお願いを挙げると、例えばこんなものです。

  • 送迎が片道1時間かかる場所
  • 迎えに行ったら失禁しているのでオムツ交換をしてほしい
  • 家族が早く出るので予定より早く迎えに来てほしい
  • 定員がいっぱいでも何とか入れてほしい
  • 午前中に電話が来て「今日の午後にお試しできますか?」
  • 重度のパーキンソンの利用者を受け入れてほしい
  • 自宅に迎えに行ったら昼食の弁当の片付けをしてほしい
  • 自力で立てないので家から車まで抱えてほしい

こういうお願いは、現場では決して珍しくありません。

前の管理者は断っていた。でも、私はできるだけ受けるようにした

前の管理者は、こういうお願いを断ることが多かったようです。

私は管理者になってから、できるだけ受けるようにしました。

断るのは、

  • 営業していない日の対応
  • 土曜日営業など制度上できないもの

そのくらいです。

それ以外は、基本的に受けました。

理由はシンプルです。

紹介をもらう側の管理者は、「できません」だけで終わると弱いからです。

もちろん、何でもイエスと言いたいわけではありません。
でも、ケアマネが困っている時に、少しでも受け皿になれる事業所は覚えてもらいやすい。

この感覚は、現場をやっているとかなりあります。

結論から言うと、無理を聞くと紹介は増えた

結論から言います。

紹介は増えました。

明らかに無理なお願いを聞いたあと、ケアマネからの紹介が増えることがありました。

ケアマネからも、

「これ無理だと思うんだけど…」

と言いながら相談されることが増えました。

しかも、その紹介の中には、無理ではない普通の利用者さんの紹介も含まれていました。

さらによく言われたのが、これです。

「他の事業所では断られたんですけど…」

この言葉は、管理者をしていると本当によく聞きます。

つまり、少し無理を聞いてくれる事業所として認識されると、次の紹介先として思い出してもらいやすくなるんです。

ただし、全部聞くと現場は壊れます

もちろん、全部のお願いを聞くわけではありません。

ここが一番大事です。

一番優先すべきなのは、現場が壊れないことです。

例えば、

  • 月に数回のイレギュラー対応
  • 私が少し無理をすれば対応できるもの

この程度なら受けます。

ただし、

  • 毎回請求できない対応になる
  • スタッフの負担が大きすぎる
  • 継続すると現場が疲弊する

こういうものは、さすがに難しいです。

私の基準はシンプルです。

「自分が少し無理すれば、現場が壊れずにできるか」

この基準で見ています。

無理を聞くこと自体が正義ではありません。
現場を守れない無理は、あとで必ずひずみになります。

ケアマネが紹介したくなるデイには共通点がある

ケアマネが紹介したくなるデイには、いくつか共通点があると思います。

まずは、対応スピードです。

「紹介したい」と言われた時に、すぐ対応してくれるデイは紹介しやすい。

次に、情報共有です。

デイから情報がないと、家族からケアマネが責められることがあります。

「なんでそんなことを知らないんですか」

と言われることがあるからです。

そして、もう一つ。

少し無理を聞いてくれるデイです。

ケアマネも、紹介できない利用者さんをどうしたらいいか困ることがあります。

なぜなら、区分支給限度基準額という制度の中で、サービスを組まなければいけないからです。

その範囲でサービスを組むのは、本当に難しい。

だから、少し無理を聞いてくれるデイサービスは、ケアマネにとってかなりありがたい存在になります。

「無理を聞く」は迎合ではなく、相手の事情を理解すること

ここは誤解されやすいところです。

私は、何でも言うことを聞けと言いたいわけではありません。

大事なのは、ケアマネにもケアマネの事情があると理解することです。

制度の中で調整している。
限度額の中で組んでいる。
家族対応も背負っている。
紹介先が見つからず困っていることもある。

そういう事情を分かった上で、

「ここまではできます」
「これは無理ですが、代わりにこれならできます」

と返せるかどうかです。

ただ断るのではなく、相手の困りごとを見た上で線を引く
私はそこが大事だと思っています。

新しい管理者に伝えたいこと

もし今、デイサービスの管理者になったばかりの人がいるなら、一つだけ伝えたいことがあります。

自分のことより、まずケアマネのことを理解しようとする姿勢です。

管理者になりたての頃は、自分の現場のことで頭がいっぱいになります。
でも、紹介をもらう立場である以上、相手の事情を見ないと関係は作れません。

ケアマネにもケアマネの事情がある。
それを理解しようとした上で、できる範囲の無理はする。

私は、その姿勢がかなり大事だと思っています。

まとめ|紹介は増えることがある。でも、無理を聞く基準を持たないと危険です

ケアマネの無理なお願いを聞くと、紹介は増えるのか。

私の実感としては、増えることがあります。

少し無理を聞いてくれる事業所として覚えてもらえる。
その結果、次の紹介につながる。
これは現場では普通に起きます。

ただし、本質はそこだけではありません。

勘違いしやすいのは、無理をたくさん聞くほど営業に強くなると思うことです。

一番危ない見落としは、紹介を増やすために無理を聞き続けて、現場を壊してしまうことです。

だから必要なのは、迎合ではなく基準です。

  • 自分が少し無理すれば対応できるか
  • 現場が壊れないか
  • 継続すると危険ではないか

この線を持った上で、相手の事情も理解する。

それが、管理者として一番実務的な立ち回りだと思っています。


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ABOUT ME
リハビリデイ管理者
リハビリ特化型デイサービスの現役管理者。 現場運営・稼働率改善・スタッフ管理など、実際のデイサービス経営のリアルを発信しています。 これまで複数のデイサービス事業所で勤務し、稼働率が低迷していた事業所の改善に携わる。 担当した事業所では、稼働率を58.5%から79.8%まで改善。 ケアマネジャーとの関係づくり、紹介数を増やす営業方法、現場オペレーション改善など、 現場経験をもとにした実践的なノウハウをまとめています。 「現場で本当に使えるデイサービス経営」をテーマに、 管理者・生活相談員・デイサービス経営者向けに情報を発信しています。