第14話|職員の強気なLINEで気づいたこと 人を変えるより構造を変えた方が早い

デイサービスの管理者をしていると、職員とのトラブルに悩むことがあります。
言い方がきつい。
連絡の仕方が悪い。
態度が強い。
そんな場面に出くわすと、
「この職員をどう指導するか」
と考えてしまいがちです。
でも私は、ある出来事をきっかけに考え方を変えることになりました。
人を変えるのではなく、構造を変える。
今回は、その考え方に切り替わった冬の朝の出来事を書きます。
朝7時台、利用者さんの奥様から電話が入った
その日は、まだ自宅にいました。
子どもたちの朝ごはんを準備して、身支度をしている時間でした。
朝7時台。
利用者さんの奥様から電話が入りました。
「今日は…すみません。主人が起きてこないんです」
その利用者さんには認知症があり、冬になると外出拒否が出やすい方でした。
奥様も高齢で、いわゆる老老介護。
デイサービスに来る時間は、奥様にとって数少ない休息の時間です。
だから私は、
「分かりました。また体調いい時に来てくださいね」
とだけ伝えて電話を切りました。
そして職員のLINEグループに、
「本日○○様はお休みされます」
と連絡を入れました。
2分後に届いた、強い個人LINE
すると2分後。
送迎も介護も担当しているパート職員から、個人LINEが届きました。
内容はこうでした。
「利用されない時は、7時00分までに連絡ください。私が家を出る時間です」
そのLINEを見た瞬間、正直こう思いました。
「こいつ、何考えてるんだろうな」
ただの愚痴ではありませんでした。
その利用者さんの奥様が、どれだけ大変か。
その職員も知っていたはずです。
それなのに最初に出てきた言葉が、
「もっと早く連絡してほしい」
だった。
家の空気が止まりました。
子どもたちも、私の顔を見ていたのを覚えています。
でも、この話は「嫌な職員がいた」で終わらない
ただ、この出来事は、単純に
「嫌な職員がいた」
という話ではありません。
その職員は、送迎だけでなく介護業務も担当している職員でした。
現場でもよく動く人でした。
そして今も、同じ職場で働いています。
つまりこの出来事は、性格の問題だけでは片づけられません。
人の問題に見えて、実は配置の問題だった。
去年までの僕なら、ここで注意していた
去年までの私なら、このLINEに正面から注意していたと思います。
「その言い方は違う」
「利用者さんの状況を考えてほしい」
そうやって指摘していたはずです。
実際、昔の私はそういう管理をしていました。
でも、それはうまくいきませんでした。
注意すると言い返される。
こちらもまた言い返す。
感情が残る。
周囲も巻き込まれる。
そして、現場の空気が悪くなる。
勝っても、現場が壊れたら意味がない。
2026年、私は考え方を変えた
だから私は、考え方を変えました。
勝つことより、負けないこと。
人と戦って勝つ管理ではなく、
現場が壊れない構造を作る管理
に変えました。
この件でも、最初に見るべきは感情ではなく、構造だと考えました。
問題は「人」ではなく「送迎体制」だった
冷静に見直すと、今回の問題はその職員だけではありませんでした。
問題は、送迎体制でした。
その時の状況はこうです。
- 長距離送迎
- キャンセルが出やすい利用者
- 担当はパート職員
今思えば、トラブルが起きやすい配置でした。
キャンセルが出ると、
- 移動時間が無駄になる
- 送迎ルートが変わる
- 勤務感覚も変わる
- 感情も揺れる
つまり私は、
人の問題だと思っていたものが、実は構造の問題だった
と気づいたんです。
私は注意も説得も面談もしなかった
この件で私は、
- 注意
- 説得
- 面談
何もしませんでした。
代わりにやったことは一つです。
送迎表を変えること。
変更した内容はシンプルでした。
- 長距離送迎は正社員担当
- パート職員は近距離送迎
それだけです。
正社員には事情を説明し、時間外勤務には残業代を出しました。
人件費は少し増えました。
でも結果として、
- クレームは出ない
- 職員との衝突も減る
- 利用者家族も守れる
- 現場が安定する
ようになりました。
感情に返すより、配置を変えたほうが早かった。
管理者に大事なのは、人を責めることではなく現場を壊さないこと
この件を通して、私は強く思いました。
職員から強いLINEが来た時、昔の私は正面からぶつかっていました。
でも今は違います。
- 感情で返さない
- 人を責めない
- 構造を見る
- 仕組みを変える
遠回りに見えるかもしれません。
でも、これが一番現場が壊れません。
人を変えるより、仕組みを変えるほうが、現場は長く持ちます。
まとめ|職員の強い言い方の裏にあるのは、人間性ではなく構造かもしれない
職員の強気なLINEで、私は一つのことに気づきました。
それは、問題を人の性格だけで処理しないことです。
もちろん、言い方がきついこと自体は問題です。
でも、そこで止まると本質を外します。
勘違いしやすいのは、強い言い方をする職員を注意すれば解決すると思うことです。
一番危ない見落としは、人の問題に見えるものの背後にある構造を見ないことです。
長距離送迎。
キャンセルが出やすい利用者。
パート配置。
そこに無理があれば、誰でも揺れます。
だから管理者に必要なのは、正しさで勝つことではなく、現場が壊れない形に組み替えることです。
人を変えるより、構造を変える。
デイサービス管理者として、私が一番大事にしている考え方です。
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